モナコでは環境に優しい移動手段が重視されています。特に、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという、モナコ大公アルベール2世が定めた目標に到達できるよう様々な対策が行われています。
この目標を果たすためには誰もが利用できる移動手段を提供することが重要です。
モナコ国内での移動が楽になるように環境に優しい乗り物や移動手段が開発されました。
先ずは徒歩での移動を簡単にする次のような設備(モナコの表面積は2km²なので国内全域が徒歩圏内です)が整えられました。
― 公共のエレベーター 80機
― エレベーター 37機
― 動く歩道 8機
自転車がお好きな方にはモナバイク(MonaBike)がおすすめ。モナバイクは電気自転車のレンタルサービスです。モナコ国内にはモナバイクの電気自転車が350台揃っており、このユニークな乗り物は誰でも利用できます。1回の充電で走行可能な距離は60kmです。充電ステーションはモナコ各地に49ヶ所あります。
ハイブリッドのバス
モナコバス会社(CAM)も環境に優しい交通手段を提供しています。モナコバス会社は温室効果ガスの排出抑制に貢献する燃料、バイオディーゼル「ディスター(Diester)」を採用しています。2016年からは22台のハイブリッドのバスも運行されています。
セルフサービスのシェアリングカー、モビー(Mobee)もご利用頂けます。料金はプリペイドカードで支払うシステムです。モビーでは二人乗り又は5人乗りの自動車を選ぶことができます。
ちょっとしたレジャー気分を味わえるシャトルフェリーもお勧めです。モナコのシャトルフェリーはモナコ港内を渡ってモナコ・ヴィル地区とカジノ地区を結んでいます。このフェリーのエネルギー源はなんと太陽エネルギーを活用した電気がエネルギーです。
各種交通手段を一つにまとめたアプリ
2021年に発表されたモナパス(Monapass)はオールインワンタイプのアプリです。スマートフォンにダウンロードして使用するこのアプリにはモナコ国内の移動や観光、あるいは通勤・通学のための交通手段(バス、モナバイク、公共駐車場利用)がひとつにまとめられています。
シティマッパー(Citymapper)はリアルタイムで移動手段を教えてくれる無料ガイドアプリ。目的地までの行き方が、徒歩、セルフサービスのシェアリング電気自転車、シャトルフェリー、電車、シェリングカー、ヘリコプターまで、あらゆる移動手段が単独で、あるいは複数組み合わされて表示されます。モナコの公共駐車場の空き状況もリアルテイムで知ることができます。
パンフレット「楽しいモナコ(Monaco
Malin)」ではモナコ内での移動手段などがもれなく紹介されているパンフレットです。このパンフレットにはモナコ内の歩く歩道や、電気自転車駐車場、公共交通機関などが地区毎に網羅されています。観光スポットやお手洗い、医療機関も掲載されており、モナコ内を移動するためにとても便利です。
電気自動車の充電
モンテカルロベイ・ホテルのスーパー充電器スタンド
2019年5月、モンテカルロベイ・ホテルにスーパー充電器スタンドが設置されました。従来の充電器では、車1台をフル充電するのに数時間かかるところ、このスーパー充電器ではたったの20〜30分間でフル充電できます。電気自動車用の充電器スタンドは街の中心から離れた道路沿いに設置されていることがほとんどですが、このスーパー充電器はモナコの中心街に設置されているというユニークな設備。モナコの責任ある移動手段のためのコミットメントは理想を高く掲げており、このスーパー充電器にはモンテカルロベイ・ホテルの屋上に設置されたソーラーパネルによるエネルギーが活用されています。
モナコ・オン
モナコ・オンは電気自動車の充電器スタンドです。サブスクなどはする必要もなく、無料で利用できる便利なスタンドです。目立つ黄色い色で見つけるのも簡単。このスタンドでは複数の自動車が同時に充電できます。より多くの方達が利用できるよう設置された充電器スタンドです。目立つ黄色い色で見つけるのも簡単です。
モナコご来訪の前に「グリーン・アライバル」の記事をお読み下さい。
モナコで開催される環境に優しい移動手段関連のイベント
モナコ・エネルギーボート・チャレンジ大会
「モナコ・エネルギーボート・チャレンジ」は、モナコヨットクラブが国際モーターボート連盟(UIM) 及びアルベール2世財団と協力して2014年から開催しているユニークな大会です。
モナコヨットクラブが1904年に初の国際モーターボート大会を開催してから1世紀以上経ちました。その伝統を受け継いで、モナコヨットクラブは、若手のエンジニアの創造性と産業界での経験を融合する大会を開催しています。モナコ・エネルギーボート・チャレンジ大会は、従来のエネルギー源を用いたモーターボートに取って代わる、環境に優しいエネルギーだけを利用する未来のモーターボートについて考えて発展させることを目的としています。この大会は、船舶業界のエネルギー問題だけではなく、若手エンジニアのサポートと持続可能な発展に貢献するための技術的チェレンジと言えましょう。
モナコEラリー
モナコEラリーは100%電気または水素をエネルギーとして利用する自動車を対象としたカーラリーです。再充電は許可されません。安定性が基準となるこのカーラリーは自動車メーカー及びチューニング業界での人気が高まっています。自動車メーカー及びチューニング業界にとっては、自動車及び部品の技術的可能性と革新性を実際に自動車が利用されるリアルな状況で見せることができる機会となっています。モナコEラリーは、1995年から開催されていたモンテカルロ電気自動車ラリーを引き継いでいます。モナコEラリーは、環境汚染物質や大気中の微粒子状物質、二酸化炭素の発生を最小限に抑制する、自動車のための新しいテクノロジーを推奨することを目的としています。このラリーでは環境に責任ある運転をドライバーにアピールすることも目的となっています。モーターの原動力として電気を推奨し、環境保護と新しい移動手段への移行を優先的に考えているラリーです。
モナコEプリ
あの伝説的なモナコF1グランプリと雰囲気は全く同じ。違うのは参加するのは全て100%電気自動車であることです。モナコEプリは2015年にモナコで初めて開催されました。フォーミュラEとそのテクノロジーは、モーターの力強さと走行距離という面で大きく進化しました。今年度のモナコEプリでは、1人乗り用の電気自動車が初めてモナコF1グランプリのサーキット全てを走行することに成功しました(昨年まではサーキットの前半部分のみを走行していました)。モナコEプリ開催中は「Eヴィレッジ」で自動車メーカーの最新作と最新のテクノロジーが紹介されます。また、「ゲーミングゾーン」ではシュミレーターを使ってカーレーサー体験を楽しむことができます。モナコEプリは、なんと、ファンがレース結果を左右することができる世界で唯一のフォーミュラEです。ファンが好きなカーレーサーに投票するとレース中に自動車にエネルギーが追加されるシステムになっています。まさにファン・ブースト!モナコEプリはFIAが開催しているフォーミュラE国際チャンピオンシップの一環を成しています。
エヴァー展示会
2006年から開催されているエヴァー・モナコ展示会は、持続可能な移動と再生可能エネルギーという二つのキーワードを軸としている展示会及び交流の場です。二輪車、乗用車、公共交通機関や産業向けの乗り物が討論の中心となっていますが、その他にもエネルギー専門家、持続可能な家屋の建設にたずわさる人々、カーボン無しの世界を目指す企業も対象となっている展示会です。
写真クレジット:
©Benjamin Vergély